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渡嘉敷ペーク

渡嘉敷(とかしちゃ)ペークーの隣の人のね、蜜柑が結局渡嘉敷(とかしちゃ)ペークの屋敷内、内に入って、この蜜柑を取って食べたらしいさーね。これ結局ね、法的にも、屋敷に内に入ったものは、取って食べていいらしいね。例えば、こっち隣の屋敷、こっちは、私達(わしたち)自分の屋敷としたらね、根っ子はこっちに入っていても、こっちで、実ついた蜜柑は取って食べていいらしい。そいで、ペークーは食べたって。自分の屋敷内に入っている蜜柑は。で、隣の人がもううんと怒ってね、ペークーは、「私達(わしたち)の屋敷に入っているもんは、もう私達のこの所有物になるから。」と言うて、喧嘩(おーえー)に負けんでやったらしい。そいじゃ、向こう、頑張るもんだから、何か、豚か山羊かの、腐れものをね、今度は竿にさげて、根っ子はこっちからね、あのこう、やって、向う側の屋敷に垂らしたら、向こうはまた文句言うさーね。「なんで人の屋敷内に腐りむんこんな下げるか。」と言うて、で、ペークーはまた、「うん、これは、私達(わしたち)猫は私達(わしたち)のもんだのに私達(わしたち)の勝手だよ、な、取ろうがどうしようが私達(わしたち)の勝手だよ。」と言うて、やったら、それから、その次からはね、「これを取ってくれ、ペークー。」と言って、で、「条件があるよ。」と言って、ペークーは、「そいじゃ、私達(わしたち)の屋敷内に入った蜜柑は全部取って食べて。」いい条件を作ってうん、これ取ったという。これ、話があるねー。だから、屋敷内に入っているものは、取っていいらしい。畑でもね、こういう、畑があるさーねー。だから、こういう畑に邪魔、邪魔になるぶんだけは、木でも、切っていいらしいという話、これから、じゃなかったかねー。例えばこっちに山があるさーねー。こっち、畑があるさー、この山から入った、木の枝は切っていいらしいというのも、これもペークーの後じゃないかね。畑に邪魔なる、木、木の枝。これも、ペークーはもう。当時から、今の法律はわかって、いたようなもんだね。ペークーの言い分によって、今もあるから。

備考:
1.渡嘉敷ペーク‥‥一七五〇年、首里赤田村に生まれた。渡嘉敷は姓で、ペークは士族の位階の一つである親雲上をいう。モーイ親方と並ぶ笑話の主人公で、頓智だけではなく、おどけ者的な性格が強い。
2.首里‥‥王府の所在地、現在の那覇の首里地区。
3.親方‥‥間切の総地頭にたいする尊称。
4.三司官‥‥琉球王府の大臣に相当する役職。
5.水戸黄門‥‥江戸初期水戸藩二代藩主、徳川光圀のこと。
6.坊主御主‥‥第二尚氏王統十七代の王、尚〓王のこと。
7.桑江‥‥北谷町の字。
民話タイトル: 渡嘉敷ペーク カテゴリー: 笑い話
収録地: 沖縄市南桃原 聴取年月日: 1990・平成2年12月16日
話者: 男性 話者生年月日: 大正13年
出版情報
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