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久良波首里殿内

山田祝女殿内、あれは読谷山村字山田にあるでしょう。昔は旅館というのはないので、遠くから来る人たちは、この山田祝女殿内の家に泊った。そこから、陸路嘉手納に行ったらしい。その家には、祝女ハーメー(おばあさん)と猫がいたって。猫は、そうとう歳をとっていたわけ。そのうちに、このハーメーは猫に噛み殺されてしまった。そうして、猫はハーメーに化けたって。山田祝女殿内は旅館みたいになっているので、ハーメーに化けた猫は、そこに来る人たちに、「どうぞ、泊まって下さい。」と案内していたって。あるとき、両親と男の子が来たので、「さあ、私の家は広いので、ここに泊ってから、朝早く立ったらいいですよ。」と、言い、「では、泊めてください。」と、泊まることになった。そうして、夜中になると、その猫は、スー(父親)もアンマー(母親)も噛み殺した。スーは、血だらけで座敷に置き去りにされ、アンマーは、すでに噛み殺して、むしろで覆うところだった。子供が目をさまして、「もう、大変だ。アンマーよう。」と泣いたわけ。ここはもう空き家になっているわけだから、「スーもアンマーもね、余所に用事をしに行ったので、泣かないで、おとなしくしておきなさい。」と、ハーメーに化けた猫が言った。それでも、子供は心ぼそいので、泣いたから、「お前は、そうして泣くなら、喰われてしまうよ。」と、また言ったって。それでも泣いたらから、この子も噛み殺されてしまった。それから、「後生は雨垂れ。」と、よく言うでしょう。後生は雨垂れ。その雨垂れの所に、この子供が泣いて立っていたわけ。この祝女ハーメーのところに、お碗を借りに人が来たって。その人が、「何で、お前は、ここで泣いて手を広げて立っているが、人間なのか、後生の者か。」と言ったら、「私は後生の者です。泊まりに来たら、スーもアンマーも噛み殺され、私も噛み殺されてしまいました。」と言った。このお碗を借りに来た人は、すっ飛んで戻って行った。そして、村の頭スーに、「あそこの祝女殿内にいるハーメーは、あれは祝女ハーメーではない。猫なんだよ。」「ええ、そうか。」と、村中、皆、棒を持って出て行き、屋敷を取り囲んだ。「お前は、祝女ハーメーに化けて、このように人を喰うので、許さん。」と。そうしたら、この猫は尻尾を立てて屋敷中回って、「九十九になるまで人を喰ったが、もう、逃れられない、助からない。」と言った。屋敷は全部囲まれているのでね、「お前は、どこにたくさんの人の骨を埋めたのか。」「庭の赤木の下に埋めた。」と言ったって。そうして、この猫は征伐されたという話。そういう伝説があるよ。この猫は、お碗や道具を貸したり、受け取ったりしていたそうだよ。

備考:
 
民話タイトル: 久良波首里殿内 カテゴリー: 神話と伝説
収録地: 具志川市高江州 聴取年月日: 1980・昭和55年8月7日
話者: 男性 話者生年月日: 明治45年
出版情報
本タイトル: 具志川市史第三巻 民話編上
出版年: 1997・平成9年3月31日


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