前宮里(めーまーじゃとぅ)のお爺さんといってね、大そう強い力持ちがいたそうだよ人その人には、魔物、マジムンが猫に化けたり、豚に化けたりするのが見えたそうだ。他の皆なには見ることができないのに、その人には、マジムンが化けた猫だということがわかったそうだよ。そして、この化猫がオー泣き(無気味な声で泣く)しながら歩くと、必ず赤ん坊がいなくなったそうだ。それで、前宮里のお爺さんは、このままではいけないと思ってね、マジムンに、「おまえが勝負したいと思うなら、出てきて戦え。人間に化けて出てきなさい。」と言ったそうだ。そしたら、このマジムンは、本当に人間の姿になって出てきたが、前宮里のお爺さんにはかなわなかったそうだよ。それから、マジムンが逃げ出して行ったので、前宮里のお爺さんも、そのあとをずっと追いかけて行ったそうだ。そして、マジムンが昔からある古い洞窟(がま)に入って行って、甕の中に入るのを見とどけると、前宮里のお爺さんは、「間違いない。あの甕の中に入っていったな。」と言って、棕櫚(しゅろ)の皮で作った縄を左縄になって、その蓋の口をくくったそうだ。そのときから、オー泣きする化猫は出なくなり、村の子どもたちもいなくなるのが少なくなったそうだよ。マジムンが猫になったり、豚になったりしたという話は、昔のお婆さんたちが話して下さったんだ。この道理から、左縄をなったら、ムンヌキムン(魔除け)になるといってね、話を聞いているわけ。この話は祖父母から。 |