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島村屋幽霊

ある男の人がよ、美童(みやらび)を妻になすって、女(いなぐ)ぬ家(やー)んかい行(い)じ泊(と)まってよ、一番鶏(いちばんとぅい))歌らないうちにこの家から帰ったって。帰って来るとき、島村屋(しまむらや)の前にある大きい石の所まで来たら、このおじさんは怖くなってから気(きー)さーさー〔胸さわぎ〕してもう上げて〔吐いて〕あったって。このおじさんが来ると、この石の側で犬が十匹ぐらいずつ鳴きよったって。これ見たら後ろに帰るもんじゃないと言ってよ、すぐ前から通ったって。通ってから、このおじさんはすぐ西江上(にしえうえ)の真ん中ごろにある1.満名(まんな)の家の前まで行ったから、このハンドー小(ぐわー)〔島村屋〕のあの角にいた犬もたくさんついて来てよ。したから、このおじさんは、「大変なった。」と言って後ろ向いてしたから、またこの犬がアヒルなっていたって。後ろ向いたら、アヒルなって十匹ついて来たから、おじさんは、「今日はもう大変、今日はもう死ぬんだね。」と思って、自分の家に来たからよ、門まで行ったから、もうまた猫なっていたって。今度は猫に変わってついて来たから、このおじさんは、「もう、どうしようかね。」って、一時は家の前にこんなして立っていたから、この猫はまたみゃーない鳴いてよ。この門(じょー)で鳴いたから、このおじさんは、「家に入ったら、もう大変。」言って、豚小屋に行ったって。このおじさんはもう家帰ったら大変と思って、豚小屋に行って、豚小屋に長いこと座っていたから、この猫はみゃーないして、みんな帰りよったって。何時間も豚小屋にいてよ、もうみんな帰ったからいいはずと思って家に帰ったさ。明くる朝、豚小屋に行ってみたら豚みんな死んでいたって。豚死ななかったら、このおじさんが取られよったはずよ。だから、「あきちゃびよー、でーじやてーさー。私(わん)でー死ぬてーさやー〔あれもう大変だったなもう。私は死ぬところだったな〕。」と言ってよ。また、猫みんな、フル〔豚小屋兼用便所〕の豚にはかなわんて。豚死なして、この猫は帰って行ったという。これはハンドー小(ぐわー)だったわけ。これは戦争が始まる前の話だね。このおじさんは友達だったから、家に来てこの話するからよ、「おじさんが言ゅーせー、全部(む る)嘘(ゆくし)やっさー〔おじさんが言うのは全部嘘だね〕。」と言ったが、本当であった。

備考:
1.島村屋幽霊・・・・島村屋敷の西側の十字路の所に大きな岩があった。そこはハンドー小が島の若者たちに冷やかされた場所だと言われる。そこにハンドー小の幽霊が出るという話があった。そのときは犬や猫に化けて出たのであろう。伊江島では、古来、深夜外出から帰って来たら必ず豚小屋に行って豚を起こしてから家に入るようにしていた。豚は幽霊を追い払う霊力がある。 (山城修注記) 2.満名・・・・屋号。門中の拝所が西江前にある。遺跡■109 参照
民話タイトル: 島村屋幽霊 カテゴリー: 神話と伝説
収録地: 伊江村東江前 聴取年月日: 1993・平成5年3月13日
話者: 女性 話者生年月日: 大正3年
出版情報
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