カニスザガマ爺(じい)さんは、自分の仲の良い女の人が死んでしまったそうだ。その爺さんが海に行こうとすると、ナガ嶺(んみ)と言う道で、その亡くなった女の人と出会ったので、「カナガマ、お前も迎えろ。」と言うと、その女は猫になって、「海に行くよ、カニスザガマ爺(じい)さん。」と言うから、干瀬の岩の所に行った。カニスザガマは甲イカを取ろうと、歩き廻っていた。「おい、時分だよ、カナガマ出歩いて探しなさいよ。」と言って少し出歩くと、猫は、「私は潮(しお)が干いてから行くよ。」と干瀬(ひ せ)の岩に座っていた。そこから動こうとしなかった。そこへ魚を取って担いできた。「さあ、カナガマ持って上がれよ、お前も一匹でも、煮て食べろ。」と言った。すると、猫は、「私にはそんな物はすぐには食べられん。持って行ってくれ。」と、それが言うので、「わかった。」と言って持った。「ところで、お前は何を取ったか。」と言うと、「私は、ススゥフリガマを一匹取っただけだよ。カニスザガマ。」と言って、それはまた自分の来た道を行こうとしていた。「さあ、もう行くがいい、それでは行くよカナガマ。」と言うと猫は元来た道を帰って行った。それで、その爺さんは、「助かった。」と帰ってきた時もあったという話をよく話して聞かせてくれたさ。 |