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十二支の話

子、丑、寅(干支)の話し、此れはずっとずっと大昔の話しだが、此の世に未だ人間が誕しておらず、動物達と、木や草だけが生育していた時代の事であるが、其の時は、動物達は、皆、一の言葉で話し合って暮していたそうだが其の動物達には、未だ大將になるのが居なかったので、彼方に行っては突当り、此方に行っては張掻いたりして喧嘩や闘争が果しなく続いていました。すると、天の神様が其れを御覧になって、此れ達は大將になって治める動物が居ないから此の様な事になる筈だから、と、考えられて、地上に降りて来られて、動物達に、全員集合の号令をかけられました。すると、動物達は何事だろうと思って全員集まりますと、天の神様が「もう君達は、彼方に行っては突当り、此方に行っては引掻常時、喧嘩や闘争の果て、が無いから、其処に、大將になる者を一人、一人決めておくから、其うしたら君達は喧嘩や闘争をしないで仲良暮しなさい。それで私が、全員集合、番付するようと、号令する時には皆我先にと、走って集りなさい。そして、私が一番、二番と順番を決めて、十二番迄は毎年、一年交代で、代る代る皆の国の王様にしてやるから。」と、話されましたので、其の動物達は「ああそうか、それでは、私も其の十二番の内に入れば何時かは、此の国の大將、王様になれるんだ、此れは良い取決めだ。」と話し合って、喜び勇んで其の時は皆自分の家(巣)に帰って行ったのです。それから少し経って天の神様が「番付けするぞ―、全員集合せよ。」と号令されましたので動物達は、一人残らず、我れ先にと駆出して、番付する処に急ぎました、すると、昼寝をしていた猫も吃驚して飛起て、一目散に疾走して皆の後を追って行きました。そして其の途中で、もう私は何番目位だろうと思って前を見ますと、牛が一番前で、それから数えて自分は十二番目になっており「自分の後からついて来る者も居ないので、ゆっくりゆっくり歩いて行っても十二番の内に入れたら、私も何時かは、此の国の王様になれるんだ。私の年も、私の誕生日もあるんだ。」と、其の時からは、ゆっくりゆっくり歩いて、番付けする処について行きよるのです。そして、もう軈、其の番付けする処に到着しそうになった時、牛の角と耳の合中に隠れて居た小鼠が急に飛出して来て、牛の鼻の先から前に飛出したのです。すると、今迄一番だった牛は二番になり、くらりと追って来た猫は十三番になり、もう番の内に入らなくなり、猫年は無くなり、猫年の誕生日も無くなりますと、怒ってぶーぶーをーをーと、唸っているのは猫です、此の様な悪賢い小鼠が悪知恵を使って飛出さなけらば、私迄は十三番だから猫年も、猫年の誕生日も有ったのに、もう皆無くなってしまったといって、とても怒って、ぶーぶーをーをーと唸っているのですから、猫は鼠を見ると、此奴、悪い小鼠、此奴が欲深な事をしなければ、私の年も、猫年の誕生日も有ったのに、もう皆無くなってしまった、と怒って取捕えて噛殺して食べてしまう様になったのです。そして、其の後、人間が誕生する様になると「君は何と言動物が王様の時に生れたか。」と言うと「私は丑、私は午、私は申の年に生れた。」と言ったそうですが、其の後言葉が訛り、「君は何の人か。」と聞きますと、「私は申の人、私は酉の人、私は戌の人。」と言う様になったそうです。ですが、子供達が夕食でも食べながら、食台を前にして、側の人が何か話ながら 外見している時に、知らん顔で  お箸で他人のお碗から美味と思う物を素早く取って、自分の口に入れて、ぱくりと食べてしまう。すなはち、目抜盗人になる事だが、其の様な事をすると、其れを見ていた年寄達は「あらあら、まー其の様な餓鬼猫になると、すぐ猫年にされるよ。」と言います。何故かと言いますと「猫年にされると、誕生祝もなくなり、誕生祝が有ると、十三祝等他の動物生れの人は、すぐ、誕生祝になると、友達から、祝品も貰えるが猫年になると、十三祝も無くなるので、祝品も何も貰えなくなるよ。」と言はれると、「ああ、それはいやだ。」と言って、其の時からは猫年にされるかと思って、餓鬼猫の似は治るとの事だが今頃の猫は食物が豊富になって、御馳走ばかり食べ、鼠を取ろうとはせず、遊んでばかりいるので次第に太り出し、しまいには豚の様になり、以前の猫はとても身軽で、其の時は盛に鼠を取って食べていたが、当時は手に唾を付けて顔も洗い奇麗にして歩きよったが、今は顔も洗わず、垢に汚れて、垢汚猫になり、人が見ない時には手でお碗から速早く肉片等を盗食ので豚の様に太り、垢汚猫、餓鬼猫になりさがっているが、昔は常時外で鼠を取っているので足が汚ている時は拭いて入って来よった。それで、猫は、雨と水が一番怖い物なので、水溜等に足を突込むと振り捨、捨してから家に入りよったのだが、今の猫は外に鼠を取りにも出ないで、常時椽側で昼寝をして、食てQ、食ては寝しているので、豚の様に太り、夜も昼寝をしている、そんなだから、天の神様は以前から其の事を御存知であられて、此れを王様したら、此れは自分一人で餓鬼猫になり餓鬼猫、垢汚猫になり、毎日寝て暮すにちがいない、一夜も昼寝をするのだから、此れを王様にしてはいけないと思はれて、それで王様にしなかったのか、それで猫年が無いのかと思っている、此れが子、丑、寅の始まりと、猫年が何故無いか、と、言う話。

備考:
北谷町・躙橋茵^で蛤・傘鼻蕗・厩憶・大正10年3月9日生)
民話タイトル: 十二支の話 カテゴリー: 動物昔話
収録地: 北谷町・躙橋茵 聴取年月日: 1997・平成9年2月17日
話者:   話者生年月日: 大正10年
出版情報
本タイトル:  
出版年:  


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