|
昔、兄弟がいて、兄さんはとても金持ちで、弟はとても貧乏でした。それで、兄さんはいつも弟を貧乏だといってとてもけなしていじめていました。自分はたくさんあっても、その弟に分けてくれようともしない。それで、弟はお父さんが病気になっても、自分はお父さんに何もあげることができないと、とても悲しんでいたんですよ。だけど、お父さんは、「あんたはね、正直で、とてもよく働くけれども、今は貧乏だね、でも、辛抱してよく働きなさいよ。がんばって働いて私が死んでもね、あんたはお金もないので、何もあげなくてもいいから、お線香とお酒だけをあげなさいよ。」といった。
お父さんが亡くなると兄さんは、もう金持ちだからいろんなものをたくさんあげたんだけど、その弟は、「自分は貧乏者で、お父さんもそうおっしゃったので。」といつもお酒とお線香をあげて、お父さんの供養をしていました。ある日、お線香を持ってお墓参りをしたら、帰る時に猫がついてきたそうです。追いはらっても追いはらっても、この猫はどうしても離れません。それで、「これはお父さんの魂かもしれない。お父さんの生まれ変わりかもしれない。」といって、お家に連れて帰って、とてもかわいがってあげました。すると、その猫が金のうんこをしていたんでね。それから弟の生活はとても豊かになって、お金持ちになりました。
そしたら兄さんは、「なぜ、あの弟は今まで貧乏だったのに、そんなに急に金持ちになったのか、珍しいなあ。」と思って見に行ったら、その猫のおかげだということがわかってね、「じゃあ猫を貸してくれ。」といって、借りてきたんですよ。そして、「弟は、御飯を一杯ずつあげたけど、私はたくさんあげたので、その金のうんこをたくさんやるだろう。」と考えて、たくさんくれたらね、その猫は死んでしまったそうだ。そして、もうその兄さんは、その猫をほったらかしていた。
弟は、「猫はどうしているだろうか。」といって見にきたら、兄さんがその猫を殺してしまっている。それで、弟は、「かわいそうにもう。」といって、泣きながら埋めたそうですよ。そして、その猫を埋めた所に一本の木を植えました。すると、その木がだんだん大きくなって、秋になったら、もういっぱいの実をつけてね、これが九年母(くにんぶ)で、今でもまっ赤になるので、黄金九年母(くがにくにんぶ)といっているそうです。それで、二月の屋敷拝みや、八月の屋敷拝みには、それを飾った方がいいといいますよ。
|