お母さんはどこの話とも言わなかったですけどね、これは教訓じゃないですかね。お母さんからいつも言われてたので、親孝行の娘の話をね、母の形見として残しておこうかなあと思っています。昔ですね、沖縄のある村に母親とカマドゥーグヮーという娘がおったそうです。お母さんは目が不自由でもう何も出来なくてですね、このカマドゥーグヮーが細々と働いて親子の生活していたそうです。このカマドゥー小は、年頃になってもですね、このアンマーを養っていくためには結婚も出来ないですね、いつまでもアンマーの側にいたそうです。昔は人生五十年と言って、六一歳からは年寄りですよね。だから、昔の六一歳には、トゥシビースージーって大きな還暦のお祝いをしよったそうです。で、このアンマーと同じ年の六一歳になった人はもう親戚や村中の人を呼んで、大きなお祝いをしているんだけど、このカマドゥーグヮー親子は貧乏でね、食べるのも困ってお祝いすることも何も出来ないから、カマドゥーグヮーはもうお母さんにですね、「自分の働きが弱いためにね、お母さんのお祝いも出来ないでごめんね。」って母を慰めていたけど、でももうあんまり何もしてあげられないのを悔やんで、「何かいい方法はないかねえ。」と考えている時にですね、昔私達の時分は髪の多いのが大変自慢だったんです。だから、髪を切ってくずれないように結わえてですよ、入髪(いりがん)というのを作ってこれを売ると、お金持ちで髪の少ないの人は、その入髪(いりがん)を買う習慣があったんですよ。 ちょうど幸いにこのカマドゥーグヮーは髪が沢山あったって。黒髪でとっても綺麗な髪でね、それ思い出して、「ああ良かった自分にはこの髪があったのに。」と言って自分の髪切ってね、入髪(いりがん)作って、で、これ売って、「もうお祝いは出来ないから、母の好きな魚でも買ってあげよう。」と言うことで、母さんにね、「アンマー、そこまで行ってくるからね。自分が帰ってくるまでは寂しがらずに私を待っておってねえ。」と言って町に出たって。そしたらカマドゥグヮーの髪はとっても綺麗だからね、それで作った入髪(いりがん)はすぐ売れたって。それで、喜んでね、魚買ってもう母さん喜ばす一心で魚市(さかなまち)グヮーに行って魚を買って帰る途中にですね、山道に来て、自分も早めに出たもんだからよ、用を足したくなってですね、魚をそこに置いて側で用をたして帰って来るときに一匹の猫が来てね、この魚をくわえて逃げたらしいんですよ。 もうカマドゥーグヮーはもうアンマーを喜ばすための魚を猫に取られたからびっくりしてね、カマドゥーグヮーはよ、追っかけたって。この猫はですね、だんだん山の奥へ奥へと逃げ込んでね、夜は暮れるけど、カマドゥーグヮーはこの猫から魚取らないとアンマー喜ばす事が出来ないさあね。それで、もう恐さも忘れて、もう一生懸命猫を追っかけていたら、猫は段々段々山の奥に行って、小さい洞窟(が ま)に入り込んだって。カマドゥーグヮーは、もう怖いけどね、猫が入った洞窟(が ま)に手を入れたらね、何か触る物があったそうですよ。「何かねえ。」って思って引っ張って出したら、このぐらいの小さい甕(かーみ)グヮーを掴んで出したって。「珍しいねえ、こんな所に猫が入ったのに猫はいないで甕があるんだねえ。」って、この中を見たらこの甕に黄金(くがに)がいっぱい詰まっていたって。で、もうカマドゥーグヮーも喜んでね、「神様からかねえ。」って思って、その黄金を持ち帰って行ったって。で、またお母さんはお母さんでね、カマドゥグヮーがなかなか帰って来ないから、「そこまで行ってこようねと言って出たのに、夜になってどうしようか。」ともうおろおろしていたって。お母さんがこんなして心配してるときにカマドゥーグヮーが帰ってきて、「アンマーよ、こんな事が今日あったよ。アンマー喜ばすために髪を切って売ったら、魚が買えたんだけど、これ猫が持って行って、この猫追っかけて行ったら洞窟(が ま)に入って、洞窟(が ま)の中からこの猫を引っ張ろうとしたから猫が甕になっているんだよう。誰の物も盗んできてはないですよう。」と言って話したら、「それは、カマドゥーグヮー、お前が毎日私に孝行しているからね、神様からの褒美であるんだよ。」って言ってね。その晩はもう皆近所集めてね、たくさんの御馳走を作って大きなお祝いをしたってよ。私の母の話は、良い事したら良い事が起こるんだよと言って。まさか猫が甕には化けないさあね。これは、こういう親孝行しなさいという教えだなあと思っているから、自分の子にもいつも私はこれは言うよ。 |