猫の好きな女と猫嫌いな男との夫婦があった。それでその女が猫好きだから、猫を親戚の家から買ってきて養っていたが、男の方は蹴っては投げたり、追いかけてたたきつけたり、食べ物もやるなといって、ひどく乱暴するから、男のいない間に食事もあたえ養ったりしていた。けれども後は死にかかって骨と皮だけになっていたそうだ。この家の東に、遠く離れた東の家があったので、這って行くと、丁度お昼の時間に、「あ、猫が来た。」と、「と、と、おいでおいで。」と呼んで、「さあ、これは弱っているから、食べ物からあげなさい。」と、「魚を取って上げなさい。」と言って、焼き魚を、「これは一匹は食べきらん。たくさんは食べないだろうから、大切にこの猫は育てないとならない。」と言って育てたそうだ。その事によって、「隣りが猫をくったら、隣りは魚を食べなさい。」という例えにもなっている。 それで、この魚をくれては育てる、育てるして、「お前は大きくなって家の番をしなさいよう。」と、「お利口さんだ。」と言って育てていると、ゴキブリも取る、また守宮も取る、鼠も取ったりしていた。それで、この家には粟を収穫しても、米の俵を収獲しても、長い間保存できた。着物も鼠に食べられて困っていたが、もう清潔になり、食べ物でも何んでも、誰もかれも大切にして育てていたから、いって鼠を捕えても、見てもらおうと、こうして持ってきて見せるから、「お利口さんだ、お利口さんだ。」と言うと、それから持っていって食べたりしていた。その時のくせで今になっても、猫は、物を捕えたら持ってきて、主人に、利口ものだと言われようと見せると言うことだ。それで、そうしている間に、この家庭は相当働いた作物も、猫が番をしてくれるので、こうして清潔にもでき、また、〈鼠に食べられることもないので〉量も多かったと言うことなんだよ。 けれども、この猫が、五年、六年と養っていると、西の家に行ったそうだが、「アウ、アウ、アウ。」と行って、「あんたは、私が小さかったころ、ひどく乱暴してくれたな。」と、もう言っているらしい。それで、「あんたと命を取る勝負をやってみよう。」と言っているそうだ。この猫が、驚いて、その時は愕然としていたが、かかろうと、その時にすぐかかっていたら、この男は食べられているところであったが、もう、「いって後七日までにしよう。七日後には、あんたと命を取る勝負をする。」と、この猫は言ったそうだ。「これは大変だ。」と慌てて、このもう、この人は、七日までに自分の命を守る計画を立てないとならなくなって、竹やぶの中に行き、かたそうな竹を選び、それを伐ってきて、上手に火にあぶり、あぶって弓を作ってから、もっとこのかたい竹を割って弓の矢を作り三つ作って干した。 猫が来て、「一つ、二つ、三つ。」と数えてから、「これ以上は作るなよ。」と言って帰って行っだ。けれども、また、命あってのてとだからと、またあと二つ作って、五つにして置いてあった。するとまた来て、「一つ、二つ、三つ、四つ、五つ。」と、「これ以上はもう作るな。」とまた、言って帰ったそうだ。それでも命の取り合いだからと、今度は、あと二つ作って、それは見せないように、隠して置いてあった。そしておくと、もう、次の日という時にもやって来て、「一つ、二つ、三つ、四つ、五つ。ん、これで終り、それだけで勝負はやろう。」と言って、この猫は行くそうだから、それで、この人は、猫が行ってから考えていたが、「これは下にいてはもう、絶対自分には勝てそうもない。」と思ったので、後の方にある木の上に登って、床を敷いて、腰あても作って、この弓を強く引っぱれるようにして置いて、床をかけて用意をして待っていた。 翌日の昼頃来てから、あっちこっち家の周囲をまわって、鳴きながら捜し捜ししていたが、今度はその木の上を仰ぎ見てから、「ん、そこに居たのか。」と言って、言うとまた引返して行くそうだから、「どういうつもりだろう。」と思っていると、ハガマを行って取り被ってから、来るので、この猫は来てから、ハガマを被りながら、登ってきたので、このもう人間は知恵が勝っているから、この最初作ってあった油をぬってある弓の矢から、あの後から作った矢は用意しかくしておいて、ハガマに向けて、タァーレ、タァーレと矢を放していた。すると猫は、「一つ、二つ。」と数えていたそうだよ。 そうしていてから、丁度もう五つ打ちつくした。だけど後には二つ残して置いてあるわけさ、ね。でその時に、「五つ。」と言うと、「はい、今だ。」と、ハガマをとっておろすと、口をもう、あふ、と開いたそうだから、その時にこの残してあった弓の矢を強く引いて、二つ一緒に、そこから飛ばしつけてやったら、その口を突かれて、ドーッと落ちたので、下におりて行き、置いてあった棒でたたいて殺し持って行って捨てたそうだ。その時にこの弓の矢が、三つ、五つ、七つとこの考えて作ったことで、あの七、五、三という祭りは、猫を持っていって捨ててから、「もう今からは、この家庭にこのような化物を入れてくれるな。」という願いをしたので、それから、「七、五、三願い。」というものを初めるようになった。 |