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猫の恨み

昔ね、ある所に、五十ぐらいの人がね、反物を織っていったって。それで布織りをしてね、猫を一匹飼っていたって。その猫に、反物を、これは店に、町に出すものだからと、持って行くから、間に合わすといって、「もうちょっとだから、ご飯は後にしようね。」と言った。それでも、この猫は待たないで、もうとってもおなかがすいていたのかしらんが、待てといっても待たないで、後は、げんこつで頭を殴ったら、痛かったのか、「ワーン。」と、大きな声をあげた。大きな声をあげたが、その人は反物に夢中になっているから、何がなんだかわからなかった。猫はもう後に行って、反物を織る後に行って、糸をかじった。かじって、もう散らかしたので怒って、また殴った。殴ったのでその猫は逃げて、山に逃げていったって。それでもう、二、三日、四、五日も家に帰ってこないでね、もう心配しているけど、なかなか帰ってこないで、もう、五日六日たった頃、村の人がね、「人間でもありそうだが、なにか後に尻尾をもあるもんで、化けているようだ。」と、うわさが出たからね。おばさんも気になって、「この猫ではないかなあ。」といって、それで、晩の十時頃見たら、自分の飼っていた猫だったらしい。それでもう心配して、「もうどうしようか。それでもあれを殺すこともできない。どうしようかなあ。」と。そうしていると村の人がみんなの相談で、「これが人に化けてきてはいけないから、殺そう。」と、村中が相談したが、そのおばさんが、「自分の子のように飼ってきたから、今、待ってください。なだめてから、どうにかするから。」と言った。そしたら、黙って聞いていたってよ。聞いていたら、「ワー。」と言って、山に逃げていって山の後のずっとむこうの川に落ちて死んでいたって。      だろうね。もう人間があんなに騒いでいるから、生きていてもだめだと思って、川に飛びこんだんだろうね。動物でもわかるんだね。    から。猫は死んでしまったよ。川に落ちて死んでしまった。長いこと飼うと猫は化けるって。

備考:
 
民話タイトル: 猫の恨み カテゴリー: 本格昔話
収録地: 名護市屋部字旭川 聴取年月日: 1982・昭和57年3月3日
話者: 女性 話者生年月日: 明治41年
出版情報
本タイトル:  
出版年:  


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