昔、ある家庭の娘がですよ、毎晩のように夜遅く食事を済まして、残りはまた明日朝食べるようになっておった。ところが、娘が朝起きてみると昨夜その残した御飯がよ、手掴みでもう食べられておったそうですよ。毎夜(まいよる)来てこれを食べる。ほったらね、娘がうちの人に、話してるさな。「あんなに夕べ食べた御飯が、だれかに手掴みしてもう食べてあるのに。」と言って。そしたら、その家の嫁が、「これは何が食べておるか見なければならない。今度は見てやろう。」って言って、夕飯を済まして休んでおったらしいな。そうすると、鍋の蓋の音がするさ。そんで見ると猫が来ておったらしいよ。「あはあ、これ猫だね。猫が食べとるねえ。」それでね、大きいしゃもじがあるさ。あのしゃもじで、猫を叩いたらしいよ。それからも、毎夜(まいよる)来てこれを食べる。それで、「どこに行くか。」と言って、嫁さんは、猫の後追いをしたらしいよ。行ったら、村はずれに出て、古墓に入ったって。その古墓の側に立っておったら、「今日は日止めの歌さい。」と話しておる。「何の日止めね、あんたなんかは人の側で叩かれてきた。もう明日の晩も行って、今度はくしゃみをさせて魂を取ってくる。」って、言うたら墓の中で、もう一人の人が、「あんたはあんな事をしたら人間様はあんたより偉いから、あんたくしゃみさせたらクスクヮイトーリパナと言ったら取れないよ。」と言ったらしい。それで、それを聞いた人は、「あはあ、よく言って聞かせてくれたもんだな。」と、その嫁は家に帰ってきて、「夕べあの猫の後追いしていったら、猫は古墓に入った。古墓に入って古墓で叩かれてきたんだよと言って、私(わたくし)を叩いたから明日はくしゃみして魂を取るって。明日の夜(よー)は来るだろう。そのとき、くしゃみをしたら、クスクヮイトーリパナと言って返さないと駄目よ。」と言うたから、くしゃみをさせられたら、クスクヮイトーリパナと言って返したって。よう言うたもんだ。クスクヮイトーリパナといって、これが返してるさな。それからがあのクスクヮイトーリパナという言葉は、この死んでおる人が言うて聞かせた教えよ。これで悪い事を返すためでしょ。それで、風邪ひかなかった。これがそのクスクヮイトーリパナの由来です。 |